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京都地方裁判所 昭和46年(ワ)683号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕一 (事故の態様と責任の帰属)

原告主張の請求原因第一項(一)ないし(四)の事実は当事者間に争いがなく、この事実に<証拠>を綜合すると、次の事実が認められる。

(一) 本件事故現場は、南北に通じる巾員約7.6米のアスフアルト舗装された国道二四号線道路上に設けられた横断歩道上であり、その横断歩道の東方には東西に通じる巾員約3.5米の道路が続いている、なお、右現場付近は夜間は水銀灯一基のほかに照明設備のない暗い場所であり、本件事故当時降雨のため路面が湿潤していた。

(二) 原告は、清酒三合程を飲み自転車に乗つて本件事故現場に至り、右横断歩道上を西から東に向け半ば横断し終えたとき、口中から入歯を路上に落したので、一旦自転車を右国道東側歩道脇に置いたのち、右横断歩道の南行車線部分で四つん這いになり二〇分近く手探りで入れ歯を探しまわるうち、接近してきた加害車を目前に発見すると同時に同車と衝突した。

(三) 一方被告前川は、加害車を運転して右国道南行車線上を時速約五〇粁で南進し本件事故現場付近にさしかかつた際、前方約11.3米の右横断歩道上で四つん這いになつている原告を発見し、咄嗟に急停車の措置を講じたがおよばず、加害車の前部を原告に衝突させて原告を約一二米前方の路上に跳ね飛ばした。

以上の事実が認められ、右認定を左右するにたる証拠はない。

右事実によると、被告前川は、湿潤した路上を歩行して横断歩道の設けられた三差路にさしかかつたのであるから、予め前方を十分注視したうえ適宜減速するなどして事故の発生を未然に防止すべき注意義務があるのに、これを怠り、前方を十分注視せず従前の速度のまま進行を続けた過失により、本件事故を惹起したものと認められるから、本件事故につき不法行為者として損害賠償責任を負わなければならない。

また、被告中村が加害車を所有して自己のために運行の用にしていたことは当事者間に争いがないから、同被告は本件事故につき運行供用者として損害賠償責任を負わなければならない。

しかし他方前記認定事実によると、被害者である原告も、事両の往来する暗い道路上で格別の注意も払わず、車両運転者が直ちに発見しえないような不自然な姿勢で長時間車道上を徘徊していた過失を犯し、この過失もまた本件事故発生の一因となつていることが認められる。

そして、原告の右過失とさきに認定した被告前川の過失の本件事故に対する割合は、原告七、被告前川三とするのが相当である。 (谷村允裕)

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